研究概要 |
本研究の課題はロボットの動作計画および制御に関連し, (1)関節空間表現法をパス探索問題に適用すること, (2)同じ問題に対し学習理論を導入すること, (3)ロボットの構造的特徴を生かしたモデリング法と, 動特性の大きな変動に対処できるロバスト制御理論を整備すること, (4)結果をCADシステムとして構成することにあった. 1.関節空間では, 各障害物は幾つかの超曲面で囲まれた閉領域として記述される. パス探索は, ロボットの初期姿勢に対応する関節空間内の1点から最終姿勢に対応する点に到るこれらの閉領域と交差しない経路(曲線)を求める問題として定式化される. 経路を厳密に求めるには膨大な計算量が必要で現実的ではない. 本研究ではこの経路をフーリエ級数の第3項までで近似し, フーリエ係数を, 障害物との干渉の大きさを表現するポテンシャル関数を利用して求める方法を提案した. 2.上記の問題に対しAIの手法を導入し, 経路をIF THENルールによって探索する新手法を提案した. 条件部はロボットの現在の姿勢, 最接近障害物および目標点の方向と距離, 実行部は次の部分目標の方向と距離によって記述される. 探索結果はデータ・ベースとして保存されるので, 似た環境でのパス探索は探索時間および経路の滑らかさが大巾に改善できる. 3.ロボットの動特性は(i)各リンクの運動方程式と(ii)それらの結合関係によって記述され, 全体として高次システムとなる. このようなシステムの制御やシミュレーションでは, あらかじめ対象の特性を比較的低次なシステムで近似しておくことが有効である. 本研究では, この種の近似化問題を結合構造を保存した低次元近似化問題として定式化し, その解法を与えた. 4.以上の結果の計算機プログラムを作成した. CADシステムとして統合することは今後の課題である.
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