研究概要 |
まず, 申請者らが提案した高速3次元形状計測法をさらに具体化した. ついで, その手法の実用装置化の可能性を検討することに重点をおいた試作装置を設計し製作した. この試作装置では, 47行X47列の2次元マトリックス状にファトトランジスタを配置して撮像面を構成し, 各行を順次アクティブにして計測を繰り返す方式としたので, 全計測時間は理想的な場合と比べて行数に比例して長くはなるが, 1行当りの計測性能によって申請者らの手法の妥当性を検討でき, あわせて, 比較的小規模で簡単な回路構成によって3次元シーンの計測もできるという利点を持っている. この試作装置を使って, 人体を含む3次元物体を実際に計測したところ, 極めて忠実度の良い計測結果が得られた. ちなみに, 試作装置の段階で, 1行あたりの計測時間が2.5ms程度, 精度が±0.3%の性能が得られている. なお, 試作装置の計測時間を制限しているのは, フォトセンサとして使用したフォトトランジスタの光応答時間(10μs程度)であることが判明しており, これを光応答時間が10ns程度のPIN型フォトダイオードに置き換えれば, 申請者らの手法によって, 計測時間が10μs程度の超高速3次元形状計測装置の実現も可能と考えられる. また, 簡単な設計変更で, ±0.1%以内に精度を容易に改善できることも確認できている. 以上のように, 本年度の研究によって, 申請者らの計測方法に基づけば, 従来のこの種の装置の性能をはるかに凌駕する極めて高速, かつ, 高精度の3次元形状計測装置を実際に作製し得ることが確認できた. これらの成果は, 機械学会, 電子情報通信学会, 国際会議等で発表済み, ないし, 発表予定である.
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