本研究では、長寿命疲労試験における試験時間の短縮化と試験費用の削減をめざして、2〜3本理想的には1本の試験片で寿命分布特性を把握できるようにするため、多数切欠き付試験片を導入した疲労試験法とその信頼性解析法を提案した。そして数値シミュレーションおよび種々の荷重条件下で、60ケ所の疲労き裂発生部を有する多数切欠き付試験片を用いた実験を行った。得られた結果は次のとおりである。 1.多数切欠き付試験片を用いると2〜3本の疲労試験で、単一切欠き付試験 片数十本分の効果がある。 2.その結果、疲労寿命分布推定のための試験時間が1/10以下に短縮できる。 3.実験では、多数ある切欠きに均一な荷重が加わるように、負荷方法を工夫する必要がある。 4.今後種々の切欠きを有する多数切欠き付試験片の形状開発が必要である。 さらに本研究では、構造物の疲労損傷に起因する信頼性低下の予測と、検査(供用中検査)の効果を明らかにするため、テンションレグ・プラットフォームの索に発生する疲労損傷を例に検討を行った。計算では(1)繰返し検査を行った場合の部材の累積破壊確率、(2)各検査時に疲労損傷を発見する確率、(3)残留欠陥の確率、(4)発見されるき裂と残留き装の長さの密度分布を明らかにするとともに、疲労特性のばらつきがこれらの信頼度に与える影響を定量的に求めた。
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