破壊力学の手法を適用して、橋梁の履歴、実態調査の結果および将来予想される使用状態を定量的に考慮した橋梁の余寿命を予測する方法を確立すること、およびそのための基礎資料を提供することを目的とし、本年度は以下の検討を行なった。 (1)コンピュータシミュレーション荷重下における長寿命疲労 前年度の研究で開発したオンライン疲労試験システム非荷重伝達型のリブ十字継手に適用し、道路橋および鉄道橋部材に生じるような変動応力下での疲労強度、特に長寿命域での疲労強度について検討した。さらに前年度の研究で提案した疲労亀裂進展則と当研究者らが昭和59・60・61年度の研究課題「溶接橋梁の疲労設計への破壊力学手法の適用に関する研究」(一般研究B)で提案した疲労亀裂進展解析方法を組合わせることにより、変動応力を受ける鋼橋梁の寿命・余寿命を評価するためのツールを新たに開発した。 (2)鋼橋ディテールの道路橋シミュレーション荷重疲労 (1)と同様のシミュレーション荷重下で、前年度の検討で疲労損傷の生じる可能性が高いと判断された構造詳細部を含む溶接梁の疲労試験を行ない、それらの疲労強度を明らかとした。さらに、疲労損傷部をいくつかの方法で補修し、疲労試験を続行することにより補修部材の疲労強度を確かめるとともに、その予測方法を示した。
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