薄肉橋梁構造物の亀裂発生箇所を数値計算で予測するために、昨年度では節点帯板法(NSM)による局部応力解析システムを作成した。 本年度は、この解析システムの妥当性と精度を数値計算によって検討し、さらに実橋モデルに適用して対傾溝・横溝などにより局所的に発生する2次応力(局部応力)を調べた。 本年度の研究によって次のことが確められた。 (1)解の精度と計算効率の観点からさらにプログラムを検討して種々の改良を行った結果、本解析システムは有限要素法(FEM)に比べてD7┣1(/)10┫D7程度の少ない要素を用いてもFEM解と同精度以上の変位が求められる。 (2)NSMでは、FEM要素の十数倍の細長い要素を用いることができるので計算効率がよい。また、要素内の任意の点では応力を求めることができるので局部応力解析に適した解析法である。 (3)3主桁プレート・ガーダー橋の解析モデルについて局部応力解析を行った。この結果から、主桁のウェブに棒理論による応力よりもかなり大きな局部応力が生じることが分った、また、局部応力の発生箇所は、横溝部材の配置方法が影響するものと考えられる。 (4)上記の解析モデルでは、主桁、横桁の他に対傾溝、上・下横溝や主桁に取り付けられた水平・垂直補鋼材を考慮しているので、本解析システムは局部応力解析に限らず、橋梁構造物の設計計算においてFENよりも効率よく薄肉構造物の全体解析に用いることができる。
|