研究概要 |
I 研究の対象 土木工学の分野において弾性定数が異なる弾性体の接触面の亀裂の問題とは Interface Crack とも呼ばれていて, 次のような力学問題を意味する. (1) 打設されたコンクリートと岩盤の接触面に生じた空隙周辺の応力集中, (2) コンクリート鋼材との接触面が空隙を含む場合の応力集中, (3) 地層中の異質土質や岩盤の接触面に沿う空隙周辺の応力集中. II 従来の研究状況 いずれも土木工学の分野においては極めて重要な研究課題でありながら理論的な研究は進められていなかった. この理由は, Erdgan, やShie等が「Interface Crackの理論解は接触面の亀裂の先端では応力集中は集積特異点の様相を呈して非現実的なものになること」を示したからである. III 申請者の研究成果 亀裂先端で集積特異点になるという上記の不合理の解析解以外に, 亀裂先端から有限で滑らかな勾配で立ち上がり有限な大きさになる応力集中を与えるような解析解が存在することを, 次のようにして導き得た. これは土木工学のみならず機械工学の分野においても極めて有意義な解である. (1) 接触面における変位と応力は Fourier 積分で表現されるものとして, 亀裂の開口変位は有限項の Fourier 級数で表されるものとした. (2) さらに, 亀裂先端部のプロセス・ゾーンは開口変位も存在するが, 応力は生じるままに放置して, 残りの部分の応力は0となるようにした. (3) 以上のような技法によって望ましい解を得ることが出来たので, 現在は数値計算で理論の正しさを確認している. 成果は昭和63年3月の土木学会中部支部学術講演会で発表する.
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