本研究は、放射性廃棄物あるいは核反応生成物(核種)に対する遮蔽隔離材として線維補強コンクリートを使用するうえでの検討項目に関して基礎的な考察を行ったものである。 実験としては透水実験を行ったが、従来のアウトプット法では長時間を要し、かつ、データに大きなバラツキを生じたため24時間程度での非定常状態で透水係数を求める方法を昨年度に開発した。しかし、非定常拡散方程式の解を求める際に一次元理論解を用いていたため、実際の供試体に対応する二次元非定常拡散方程式の解についてFEM(有限要素法)により検討した。その結果、透水係数を求める際に修正の必要なことが明らかとなり、この点についての改良を行った。 核種の漏洩に関する拡散方程式および輸送方程式の解析コードの整備および開発を行った。そして、開発したソフトウェアを用いて核種輸送のモデルケースについて幾つかのシミュレーション解析を試みた。その結果、以下のような点が明らかとなった。 (1)格納材料およびバリア材の拡散係数、吸着係数、吸収係数は、遮蔽壁表面付近での汚染の蓄積に主に関係する。 (2)放射性核種の減衰特性は、格納性の評価に考慮する必要があるほどの影響はない。 (3)汚染領域の広がりに大きく関係するのは、気体の移動速度である。したがって透気性の低い材料の開発が望まれるが、これは透水性の抑制とも同意義と考えられる。 この他に、放射性物質の地下貯蔵に関する従来の研究をも調査し、監視技法としてのアコースティック・エミッション法についても検討を行った。また、境界要素法によるひびわれ進展解析についても考察した。
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