研究課題/領域番号 |
62550352
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
尼崎 省二 立命館大学, 理工学部, 助教授 (60066743)
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研究分担者 |
高木 宣章 立命館大学, 理工学部, 助手 (50154753)
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キーワード | 非破壊試験 / 超音波スペクトル解析 / 線形システム / 応答関数のエネルギー / 音速 / コンクリート / 内部欠陥 / 品質評価 |
研究概要 |
本研究の成果を要約すると、以下のようである。 1.有限寸法供試体の超音波スペクトル計測システムは、必ずしも線形ではなく、線形システム理論を適用して得られるコンクリート供試体の応答関数は発・受振子、供試体の形状寸法などにより異なる。また振動子のコンクリート表面への音響学的結合方法が異なると、応答関数のスペクトル密度およびエネルギーが異なる。しかしながら、振動子の感度および供試体が一定ならば、超音波スペクトル計測に線形システム理論を適用しコンクリートの品質を適確に評価することができる。 2.応答関数のスペクトル密度によるコンクリートの定量的品質評価は困難であるが、エネルギーを用いれば、定量的品質評価が可能である。 3.フレッシュコンクリートの透過超音波の周波数成分は硬化コンクリートに比べて非常に小さい。また超音波が供試体中を往復伝播できないほど超音波の減衰が多きいため、線形システム理論を適用しなくても、透過超音波のスペクトル解析により、フレッシュコンクリートの締固め程度の評価が可能である。フレッシュコンクリートの透過超音波のエネルギーは締固めが充分なほど小さくなる。締固め後のエネルギーの経時変化は締固めの悪いものに比べ、急激に大きくなる。しかしながら、現行の超音波発生装置では、フレッシュコンクリートの超音波透過能力は30cm程度までであり、構造物への適用には装置の改良が必要である。 4.コンクリートの劣化にともない音速および応答関数のエネルギーは低下するが、エネルギーの変化は音速の低下よりも敏感であり、コンクリートの劣化の評価は超音波スペクトル解析が適していると思われる。また、音速によるコンクリート内部の空洞探査は、空洞が振動子の直径以下ならば、可能であるが、超音波スペクトル解析によれば、比較的小さい空洞の存在も評価が可能と思われる。
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