研究概要 |
従来の地盤調査法で, その力学的性質の評価の難しい礫を含む丘陵地域を研究対象地盤として, その地盤に関する既存の調査結果を収集し, 地盤状態の概略的な把握を行った. 次に, 研究対象地域において標準貫入試験を3箇所で実施し, 対象とする砂礫質土のN値を測定した. また, この標準貫入試験実施地点付近から三軸圧縮試験用の乱さない供試体(直径10cm, 高さ20cm)をそれぞれの地点で3個ずつ採取した. このようにして採取した乱さない試料について三軸圧縮試験を行い, せん断抵抗角と見掛けの粘着力を求めた. 試験終了後, これらの供試体の粒度分析試験とアッターベルグ限界試験を行い, 物理的性質を明らかにした. また, 研究対象地域から多量の試料を採取して, 乱さない試料と同じ含水比, 同じ密度に締固めて供試体を作成し, 三軸圧縮試験を実施した. これらの三軸圧縮試験結果の整理とグラフ化には, 補助金により購入した8インチ標準フロッピィディスクユニットとXYプロッタを使用した. 以上の試験結果より, 以下のことが明らかになった. 1.標準貫入試験より得られたN値と三軸圧縮試験から得られたせん断抵抗角φとの関係は, 従来砂地盤に対して提案されている関係とほぼ同じであった. 2.今回の試験で用いた砂礫を含む中間土の場合には, 乱した試料と乱さない試料の強度に明瞭な差は認められなかった. むしろ, 粒度分布などの物理的性質の違いが強度に影響を及ぼす傾向が見られた. 3.乱した試料の供試体で三軸圧縮試験を行った結果から, 供試体の最大粒径が同じであるときに, 礫分と砂分の比と均等係数が同じであればほぼ同じ強度が現れ, 礫分が多いほど, また均等係数が大きいほどせん断抵抗角が大きくなることがわかった.
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