地盤の挙動は有効応力に支配され、全応力では説明できない事項が多い。しかるに有効応力は土の骨格に作用する概念値であり、実測することはできず、全応力から間隙水圧を差し引いて得られる。実際問題において全応力は比較的容易に求められるのに対し、せん断時間隙水圧を求める方法は確立されていない。せん断に伴って発生する間隙水圧は弾性成分と塑性成分に分離することができる。 塑性間隙水圧は非可逆的であるから軸ひずみに深く関わっているはずである。このことを実験的に確認するため、種々の全応力経路をたどる三軸非排水試験を実施した。全過剰間隙水圧は全応力経路に強く依存するが、塑性間隙水圧はその影響をかなりの程度消去することができる。しかし精度が不十分であり、試料の等方性に疑問が残る。弾性間隙水圧は平均主応力増分に等しいとしている。 室内三軸試験は要素試験とは言うものの、端面の摩擦、端部の拘束により、端部は自由な変形が妨げられている。これに対し中央部は自由な変形が生じているであろう。従って供試体内部の間隙水圧は不均一に分布していることとなる。しかるに間隙水圧測定は技術上の理由から供試体底面にて測定することが一般的であるから、自由な変形の生じている中央部の間隙水圧とそうではない端部の間隙水圧の合成値を計測していることとなる。 小型間隙水圧計を供試体中央位側面に設置して中央位の間隙水圧を実測した。低速せん断では中央位と底面とは同一の値を示すが、高速せん断では両者は異なる。低速せん断であっても、せん断面が明瞭で小型間隙水圧計がその位置になければ、せん断領域の間隙水圧を計測していない。要素試験となるように供試体を一様に変形させる必要がある。
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