レーダー雨量計を降雪予測のために実用化するためには、信頼性の高い地上降雪量レーダーエコーの相関をうる必要があり、本年度は地上降雪、積雪分布特性の検討、降雪が上空より地上へ落下する場合の地形と風による移流の効果について数値モデル実験を行った。主な成果は次の通りである。 (1)岩手県内、湯田ダム流域の降雪、積雪分布をまとめ、地形因子を用いた多変量解析を適用してこれら分布に及ぼす地形の影響を明らかにした。 (2)岩手山麓(高倉山)において積雪調査を実施し、南東および東向斜面の高度(1250m〜450m)-積雪深、高度-気温の関係式をえた。又、密度、雪質の測定により積雪な最終密度が0.35程度であること、標高の高い地域でのザラメ化が低地に比べ遅く、気温の影響が大きいことが見出された。 (3)国土数値情報による地形とポテンシャル流を仮定した風モデルを組み合わせ3次元の風ベクトル計算モデルを作製した。湯田ダム流域への適用例では、計算による上昇流の発生域、風の収束域と多雪地帯の一致がみい出され、又、地吹雪の発生地帯の予測が可能であることが判った。 (4)上記モデルとレーダーによって捕足された上空2000mの雪情報を組み合わせ、種々の雪粒子の落下速度、卓越風の方向、強さを与えて計算を行い本モデルの降雪分布予測への適用性を検討した。本年度は大きな降雪がなく、十分なレーダー資料がえられなかったが、次年度の観測結果と合わせて、さらにモデルの改良を進める必要がある。
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