宇都宮大学工学部構内に植生の違いによる降雨ー流出系の流出過程(特に鉛直浸透過程)の効果を調べるための草地と降雨の遮断効果を調べるための木の根元及び植生の影響を受けない裸地にテンシオメータを各点に埋設して、その点の圧力ポテンシャルを測定し、それから土壌水分量を推定した。 1.解析単位が60分の場合 (1)雷雨性つまり降雨継続時間が短い(1hr)の場合のPF値及び土壌水分率によれば明らかに植生の違いによる鉛直水分移動の変化がわかる。裸地、草地の順に土壌水分率が多くなるが、木の根元のMvの変化量は少ない。 (2)降雨継続時間の長い例では降雨とMvのピーク水分率との時間間隔(応答時間)は、植生により異なる。すなわち応答時間の速い順に述べると、裸地、草地、木根元となっている。 (3)最大土壌水分率とそれに達するまでの積算雨量との関係では、裸地が一定の浸透能に近づいている。木の根元に関しては、上昇傾向にある。 2.解析単位が20分の場合 降雨とPF値及びMvの関係をみると、草地が最初に、土壌の浸透の対する応答を示し、続いて裸地となっている。木の根は、ほとんど応答しない。また、降雨終了とともに、裸地は急激に乾燥状態に戻ろうとするが、草地では、ある一定時間湿潤状態を保っている。
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