| 研究概要 |
河川流出水質には流域の流出物理特性が直接反映していると考えられる. この視点から本研究では, 現実の物理的流出機構と対応し水質変化をも説明できる流出モデルを考究し, 水質情報を用いてそのパラメーターを決定することをめざす. 本年度は, 物理的流出機構のうち水量・水質の両面で重要な機構は何かを現場観測により検討し, さらに室内実験によりその機構を支配する特性値と水質との関係を検討した. 研究成果は以下の通りである.
(1)現場観測による水質に影響を与える流出物理機構の抽出
山梨大学北の相川流域(約9Km^2)を対象とし, 降雨時並びに降雨前後の流量と水質(主に陰イオン濃度)の対応を検討した. さらに, 流域内の各植生, 地形代表点から採取した土壌について, 種々の水質成分の供給・浸透過程を調べた. 以上の検討により, イオン種により濃度変化が異なること, また土壌層により各イオンの供給特性が異なることを明らかにした. これより, 種々の土壌層からの流出が全流出を決定し, 各土壌層の影響の程度が水質に反映していると考え, 多層構造斜面モデル化による検討対象とした.
(2)実験による流出物理機構についての特性値と水質との関係の検討
水質をも決定する流出物理機構についての特性値として, 斜面の層構造, 傾きを取り上げ, 水の動きとどのように関連するかを, 種々の降雨強度で検討した. これにより, 粒径, 傾斜, 降雨強度により各層からの流出量の比率がどのようにかわるかを明らかにした. また, それぞれの流れについてトレーサーの動きを観測することで, 水質応答の基礎的検討を行なった.
以上の本年度の検討では, この点を水質応答解析という視点で検討する. さらに, 流域の水質応答によりモデルの物理特性パラメータをいかに推定するかを検討する予定である.
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