本研究では、流域の流出物理特性推定に水質情報を利用できるか、さまざまな対象について検討した。 本年度は特に、水みち流れに代表される不均一な流れの流出物理特性を水質情報により解析した。 1.構造的水みち流れについて 水みち部の両側にガラス・ビーズ層、土壌層のマトリックス部がある装置でトレーサー移動実験を行い、マトリックス部粒径、トレーサー種、トレーサー濃度がトレーサー移動に与える影響を明らかにした。これにより、マトリックス部構造が水質情報で推定できることを明らかにした。 2.非構造的水みち流れについて 不飽和ガラス・ビーズ層でトレーサー移動実験を行い、トレーサー移動は水の存在するところで均一に起こっているのではないことを示した。これにより、水みち流れ部の構造が水質情報で推定できることを明らかにした。 3.二層斜面からの流出について 不飽和二層ガラス・ビーズ斜面でトレーサー移動実験を行い、トレーサー移動経路を説明するためには二層の境界を横切る流れを扱うための特別なモデルが必要なことを示した。これにより、境界付近の薄い層の構造が流量を決定していることを明らかにした。
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