研究概要 |
直立消波工の海水浄化機能に大きく寄与するものと考えられるエアレーション効果は, その消波特性あるいはスリット通過水粒子速度の特性とも強い関連を有していることが容易に想像される. 本年度は, 2重壁式直立消波工の消波機能の特性を探る目的から, 複数列の前面板を有する直立消波工のスリット通過水粒子速度や反射率などの各種水理都政を制度よく算定できる理論式をまず完成した. 次いで, この理論式を用い, 2重壁式直立消波工の2枚の前面板各々の開口率や設置間隔等をパラメトリックに変化させた構造形式を対象として反射率を算定し, 波の周期によらずできるだけ低い反射率が実現できるような構造断面形式を求めた. さらに, 理論的に求められたこの構造形式の水理特性を実験的に確認するために, 沖側の前面板として一辺が20cmの正方形断面角柱列(開口率25%), また岸側に前面板として同じく10cmの同断面角柱列(開口率10%)の2枚の前面板を有する消波工の模型を製作して実験を実施した. 実験は長さが100mの大型造波水槽を用いて2mの水深で行い, 入反射波分離推定法を適用して反射率を求め, また電磁流速計によって沖側前面板のスリット通過水粒子速度(水面下60cm)を計測した. 理論値と実験値との比較の結果, その一致の程度は反射率については極めてよく, また水粒子速度についても全般に良好であることを確認することができた. 以上の結果を踏まえ, 今後はこの種の消波工のエアレーョン効果を理論に組み込み, またそれを実験的に確認するつもりでいる.
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