研究概要 |
本年度は, 固定床のウロコ床粗度上の流れの組織構造の解明がなされた. 可視化法には, 横断面視法, 平面視法などが用いられた. ウロコ床粗度は, 9cm×9cmで幅60cmにわたって敷きつめられた. 流れ場は, (イ)水深一定で, レイノルズ数を800, 1000, 2000, 4000と変える. (ロ)レイノルズ数4000で, 水深を3.0, 5.0, 7.5, 10.5cmと4種類変えるそれぞれの条件が選ばれた. また, 組織構造の基本的特徴を解明するため, 横断面可視化と流速計測の同時併用実験も行われた. 以下, 主要な結論を示す. (1)(イ)の実験結果より, ウロコ床上には壁縦温が整然と形成されることが明らかとなった. これは, 壁縦渦が水深方向に重なって形成される構造であり「階段構造」と呼ばれた. この壁縦渦の階段構先はレイノルズで数を増すと, より数を増し, それが水深規模の大規模な二次流れ(並列らせん流)の形成の要因となり得る. また, 階段状の壁縦渦は左右に揺動し, 隣のウロコ上に形成された壁縦渦と相互作用を呈し, これも並列らせん流の形成機構に重要な役割を果すことが明らかにされた. (2)(ロ)の実験結果より, 水深を小さくすると(1)で示された「揺動か」が制約され, 並列らせん流が形成されやすくなることが明らかにされた. (3)同時併用の結果より, 壁縦渦と流速変動波形が1対1で対応し, 壁縦渦の3次元構造が流速変動パターンに関係することが明らかにされた. 以上の結果から, 固定床ウロコ床上の組織構造の特徴が明らかにされ, 並列らせん流の形成機構に関する新しくかつ重要な知見を得た. これらの研究成果によって, 洪水流における乱流構造の解明の新しい糸口が得られ, さらには, 次年度の〓動床上の河床波粗度上の実験の遂行がより可能となった. 次年度は, 流れの可視化画像処理の開発およびシステムの開発・確立にも努めるつもりである.
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