河床波の形勢に乱流構造が重要な役割を果たすことが従来より指摘されている。 本研究では、前年度の結果を踏まえながら、いまだ不明な点が少なくないと思われる砂漣上の流れに形成された組織構造の特徴について考察がなされた。実験には可視化法が用いられ、蛍光染料を用いた横・縦断面視法およびそれらの同時併用がなされた。以下、本研究における主要な結論を示す。 (1)砂漣の谷部では、下降流が頻繁に形成され、それが谷部底面に衝突して、谷に沿って上昇する横方向の流れを形成する。この局所的運動は壁縦渦の横断面形象の横方向への移動として観察された。 (2)砂漣のクレスト部では、谷部から移動して来た壁縦渦が集中し、それは、さらに上流から流下してきた壁縦渦群と複合する。この壁縦渦の複合の結果として、大規模な組織構造が形成される。 (3)砂漣のクレスト背面に衝突した流れは、その背面下部に横渦構造を形成させる。砂漣上の組織構造の特徴として、横渦構造の存在が平滑面上のそれよりも顕著である。 (4)縦断面可視化により、砂漣上の流れ場全体に、大規模な組織構造が流れ方向に傾斜して流下することが明らかにされた。こ大規模な組織構造は間欠的に形成され、その流れ方向傾斜角度はほぼ20〜40度程度である。 以上の結果と前年度に解明されたウロコ床粗度および滑面壁上の流れに形成された組織構造の特徴が比較検討された。
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