流れの可視化法を用いて、ウロコおよび河床波粗度上の流れの組織構造が考察された。 第1章の"ウロコ床粗度上の流れの組織構造"においては、ウロコ床近くに、壁縦渦の「階段構造」とその横方向への「周期的な揺動現象」の存在がウロコ床上に形成された組織構造に関する重要な特徴として明らかにされた。またこれらの特徴は、流れ場のレイノルズ数や水深に大きく影響を受け、さらには並列らせん流の形成機構に重要な役割を果すことも明らかにされた。 第2章の"河床波粗度上の流れの組織構造"においては移動床実験が行われ、砂漣上に形成された組織構造の特徴が究明された。砂漣上の流れの組織構造は、その三次元的形状に起因する特徴を有する。すなわち、砂漣の谷部では下降流が形成され、それに伴ってクレスト部では壁縦渦の集中が起こり、結果的に大規模な上昇流を誘起する。これらの河床付近の壁縦渦の三次元的な挙動が大規模な組織構造の形成に重要な役割を果すようである。 第3章の"滑面開水路乱流内層の組織構造"においては、可視化と流速計側の同時併用により、壁縦渦の空間的・時間的特徴が明らかにされた。またバースト周期とVITA法における最適パラメーターに関する相互関係が明らかにされた。さらに、壁縦渦の相互作用によってスイープ現象が引き起こされること、またレイノルズ数の変化に伴う壁縦渦構造の特徴についても考察が加えられた。 以上の第1章から第3章の結果を総合的に検討し、ウロコ床および河床波粗度上の流れの組織構造と滑面開水路乱流内層の組織構造の類似性および相異性が考察された。
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