研究概要 |
1.活火山の噴火活動及び山地気象を考慮した土石流の発生限界及び流出規模の予測モデルを検討した. 即ち, 桜島河川の土石流観測資料・山腹の雨量資料・火山の爆発資料・高層風向風速資料・新規火山灰堆積量資料を建設省・鹿児島営林署・鹿児島地方気象台・鹿児島県より収集, 現地観測により粒度分布資料を収集し, 桜島の代表河川として長谷川・野尻川及び持木川を取り上げ, 〓データを単位とする新規火山灰の堆積量を推定するモデルを作成した. 次に, 長谷川で既に確認されている土石流の発生限界基準に対する新規火山灰の影響を各3流域について検討, 又持木川においては自記雨量計による雨量観測をリアルタイムに実施し, 土石流発生基準における降灰の影響を明らかにすることができた. 一方, 土石流のハイドログラフの予測のため, 長谷川と野尻川の過去9年間のデータを用いて流出モデルを構築しその有用性を検証した. 2.火山性土石流の流動特性として, 土石流の流下中にみられる転波列現象及び河床境界面付近の熱収支を検討するための現地観測システムを持木川に設置し, データ収集を行い検討を加えることが出来た. 即ち, 高速ビデオカメラ及び熱赤外放射温度計を用い土石流の現地観測を行ったが, 今年度の同流域の土石流の発生回数は少なく解析を実施し検討する予定にある. 3.建設省の国見山雨量レーダの資料を用い, 活火山流域における土石流の発生予測方法を検討した. 即ち, 荒廃と起伏の激しい火山性小流域からの土石流の流出は, 台風時に見られるように, 雨域の移動の影響が極めて大きいことが予想され, レーダ雨量を磁気テープとして河川情報センターより収集し, 桜島の7河川流域について九州大学大型計算機センターを利用した解析を行い, 土石流発生の予測的中率の評価を行った所, 有用な成果が得られた.
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