研究概要 |
1.本研究の目的 本研究は路側の設計問題について, 交通安全の面から追究しようとするもので, その基礎として路側構造物等との衝突事故を調査解析し, 路側構造物等と事故発生の関係を明らかにするとともに, 路側の構造物等がドライバーの運転挙動に及ぼす影響をアイマークレコーダーによる解析を試み, 事故危険度評価モデル開発の基礎資料を得ようとするものである. 2.研究成果の概要 北海道における900件の車両単独事故の解析から次の結果が得られた. a.路側構造物衝突事故の衝突物内訳は電柱が最も多く38%, 次いで防護柵の25%, 橋りょうの12%であり, これらの衝突事故の防止対策が重要である. b.路側構造物衝突事故の発生危険度は, 速度が高くなるほどまたは運転者の年令が高くなるほど高くなる傾向がある. したがって, 速度規制の強化, 高令者ドライバーの安全教育の徹底が重要であると考えられる. c.数量化理論II類分析により, 路側構造物衝突別のいくつかの事故形態を決定する重要な要因が明らかにされ, 事故危険度モデルの開発を可能とした. d.路側構造物衝突事故における個々の衝突物別事故について, ロジットモデルを基礎として車道幅員と事故直前の速度を変数とする死亡確率推定モデルを開発し, これにより衝突別の死亡確率を計算することが可能となった. 次にアイマークレコーダによる運転者の視点挙動解析の結果, a.交差点など複雑な沿道環境では注視対象物が多く, 注視が不安定となる, b.曲線部においては右カーブと左カーブで視点挙動に相違があり, 曲線部進行中は注視が狭い範囲で繰り返され, いわゆる「錯誤」を引き起す可能性が高いことなど道路の沿道環境と運転者の視点挙動の特性が明らかにされた.
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