研究概要 |
本年度においては, イギリス, 西ドイツ, 台湾, アメリカおよび日本について, 各々の国での土地利用計画および交通計画における開発利益に関する考え方, 制度・政策の, 文献および問合せによる調査を実施した. その成果は以下の通りである. 文献は極めて多数に及ぶので省略するが, 問合せ先は次のとおりである. 1)イギリス(リーズ大学グローブ講師, リーズ市役所等), 2)西ドイツ(ドルトムント大学ディーテリッヒ, ヴェーゲナー, ダビッド教授等, ミュンヘン, シュトゥトガルト各市役所等, シュトゥトガルト測量局), 3)台湾(中国文化大学祭添璧教授等), 4)アメリカ(ロサンゼルス・南カリフォルニア高速鉄道局, ヴァージニア大学ホエル教授等) 以上の調査より得られた文献, 文書回答等から, 各国の開発利益還元制度について次のような知見が得られた. 開発利益の考え方, 還元制度の適用対象は, 国によって次のように異なる. 1)イギリス, 台湾:土地制度, 土地税制を通じて土地利用, 土地開発からの収益の公平化を図る. 2)西ドイツ:厳格な土地利用計画制度を通じた土地開発からの収益の適正化, 3)アメリカ, 日本:交通施設等の社会基盤施設整備の財源確保. 最後に, 現在までに各国で実施されてきた主な開発利益還元制度を整理すると, 次のように分類できる. 1)土地税制(土地保有税, 土地増価税, 譲渡所得税), 2)受益者負担制度(開発者負担金制度, 特別課徴金, 目的税), 3)開発者による外部経済の内部化(開発用地公有化, 土地収用, 先買, 鉄道の沿線一体開発), 4)土地利用計画制度(地区詳細計画, 区画整理) 次年度は, これら制度例の中で特徴的なものについて, 長所, 短所を詳細に分析検討し, 我国への適用性を探る.
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