研究概要 |
本研究では, 社会経済や生活環境等の多様な側面を考慮したESRAP(Evaluation System For Region Activiating Projects)を用いて, 現在, 京都府北中部や京都市, さらには近畿圏全域において計画されている地域整備プロジェクトおよび交通プロジェクトの実施効果について分析し, 各地区にとって望ましいプロジェクトのあり方についての考察を行った. 以下では, これらの成果のうち, 特に京都府北中部を対象にした分析結果をとりあげ, 得られた知見をまとめる. (1)ハイテク型産業, 情報中枢・業務, 情報・研究開発機能・丹後機業の名機能は, 地部の地域整備を実施すると綾部において顕著なインパクトが生じ, また中部の地域整備プロジェクトを実施すると船井北部において大きなインパクトを及ぼすことが明らかになった. (2)京都縦貫自動車道や近畿自動車道敦賀線を実施する場合, 「高速道路のインターチェンジへの近接性」の要因の水準がかなり上がるので, その要因のウエイトが高いハイテク型産業などの機能の水準が多くのゾーンで上がっている. (3)北部の地域整備プロジェクトを実施する場合には中部のゾーンである船井北部, 北桑田, 亀岡において, また逆に中部の地域整備プロジェクトを実施する場合には北部のゾーンである丹後半島, 宮津, 舞鶴, 福知山, 綾部において, いずれの機能においても地域整備プロジェクトの影響はあまりみられない. (4)国道9号バイパスや京都縦貫自動車道の整備を地域整備プロジェクトと同時に実施する場合, ハイテク型産業, 情報・研究開発, 丹後機業の各機能について, 亀岡や舞鶴などのゾーンで大きな相乗効果が生じることが明らかとなった.
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