研究概要 |
社会産業経済の発展と, それに伴う交通手段, 情報通信システムの発達普及から, 地域の機能分化や分担関係, 交流状況に変化があり, 地域面相互の総合性が複雑かつ密接になる傾向にある. 従って交通計画や地域計画の策定に当っては, 地域の空間的まとまり(圏域)をいかに設定するか, それにもとづく圏域構造をいかに把握するかが重要である. 本年度の研究は, この観点から広域圏域問題を抜本的に検討した. 1.先ず第一に, 圏域の設定方法について検討した. すなわち, 国勢調査による通勤通学流動データを用い, 中心地, 周辺部, 他圏域といった諸観点でえられる流動関連指標について関係性を検討のうえ, 圏内, 圏外に区分する総合指標の提案と, その閾値の設定問題について研究し, その組立てにもとづく圏域設定法を論じた. なお, 本研究の一部は昭和62年度土木学会西部支部研究発表会にて報告した. 2.提案された圏域設定手法を用いて, 北部九州3県の広域圏を求め, その階層性, 総合性, 他圏域との重複性などの諸特性を明らかにし, また, 地方生活圏等従来の圏域との関係を考察した. その結果, 一部に流動実態にそぐわない地方生活圏などが存在すること, 圏域の構造特性が中心都市の性格により著るしく異なることなどが解明できた. 3.各圏域について, 昭和35年より5年毎の動向を考察することにより, 圏域の進展過程を明らかにした. また, その検討から将来の圏域の変化に対する見通しが考察でき, 圏域の将来予測手法確立の手がかりをえることができた.
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