前年度で明らかとなった圏域設定手法にもとづいて、北部九州の圏域を具体的に設定し、その結果を用いて圏域に関する分析を行った。さらに、応用研究として、都市内の広域施設の配置問題に関する検討を行うとともに、圏域内道路網のネットワーク構成の評価についても試論を展開したが、これらについてまとめれば、次のとおりである。 1.圏域に関する分析 提案手法により設定された圏域を分析することにより、圏域が実際に地形上の制約、他中心都市の影響など、地域特有の現象を反映していることが明らかになった。さらに設定圏域は、経年的に比較的変動が小さく、他の圏域設定法に比べ、本法は地域計画上有用であるといえる。 2.広域施設配置に関する研究 広域施設の一例として公園をとりあげている。施設配置の効果は、個々の利用者が公園から受ける便益を、地域全体に集計した値として評価することができる。この便益は、様々な観点から様々に定義できるが、本研究においては、居住地と公園の距離に対する住民の満足の度合を用いている。また、施設配置問題は、最終的には最適化問題して定式化できるが、本研究では簡易解法を用いることを提案している。 3.圏域内の道路ネットワークの評価 道路ネットワークの評価は、道路機能の重要性を考慮しながら行うことが必要であるが、この点に対し本研究は、圏域の構成に着目している。具体的な評価手法については、現在試論としてまとめた段階であり、機会を得て、近々発表の予定である。
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