本研究は、1.広域圏域設定法の提案とそれにもとづく圏域構造の分析、2.圏域内の広域施設の配置に関する研究の2つに大別される。各々の研究についてまとめれば次のとおりである。 1.(1)広域圏域は、地域間流動を用いて圏域内外の等質・異質性が明確になるように設定される。 (2)この等質・異質性を判断するもととなる圏域の性質は、地域間流動を用いて圏域結合性として定義され、圏域内外の区分の度合は境界強度として定義される。 (3)一つの中心地域に着目しても、等質・異質性が明確になるような境界は複数存在することが多く、圏域は多重境界構造をなす。 (4)上記3特徴により、圏域は地域特性を反映して設定され、地域構造を柔軟にとらえることが可能である。また、これらのため、本圏域は地域計画上の有用性をもつ。 2.(1)広域施設の配置はあらかじめ決定された候補地の中から、予算その他の制約により、いくつかを選び出すことにより行まわれる。 (2)施設配置の効果は、その施設の誘致距離内、居住する利用者が個々に受ける便益の総和として計測される。したがって施設は、その便益の総和が高くなるよう配置される。 (3)個々の利用者が施設から受ける便益は、利用者の施設に対する満足の度合が評価できる。 (4)この満足度は、様々な観点から様々に定義できるが、本研究においては居住地と施設までの距離に着目している。 なお、圏域内道路網構成に関しては、試論としてまとめた段階であり、機会を得て近々発表の予定である。
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