酢酸単一基質あるいは酢酸、プロピオン酸、n-酪酸から成る混合酸に少量の酵母エキスを添加した基質および前途の混合酸に少量のグルコースを添加した基質を用い、流入COD負荷2・5〜10gCOD・l^<+1>・d^<-1>の範囲で、流入負荷の影響に関する実験を活性炭を担体とする流動床型反応槽を用いて行ったところ、次のような結果が得られた。 1.酢酸単一基質を処理するより、少量の有機物を添加するほうが基質除去が改善される。これは、メタン菌とアセトジェニック菌および酸生成菌が共生することにより、メタン生成が促進するためであると考えられる。 2.生物膜形成において、酢酸単一基質を用いるよりも、酵母エキスを添加した混合酸基質を用いたほうが、生物膜形成が促進された。 3.流動床における菌体保持形態としては、生物膜形成という形以外にも活性炭床部によりフィルター効果による菌体捕捉があり、後者の形態によっても十分高い菌体濃度が維持できる。 4.実験を行った流入負荷の範囲において、酢酢単一基質では基質除去率は98.5%以上酵母エキスを添加した混合酸基質では98.8%、グルコースを添加した混合酸基質では99.5%以上の高い基質除去率が得られた。 5.最大比COD除去速度は、酢酸単一基質を用いた場合に0.7mgCODmg^<-1>VSS・d^<-1>、酵母エキスを添加した混合酸基質では0.4mgCODmg^<-1>VSS・d^<-1>程度であった。COD負荷に対する床内タンパク質濃度の関係を合わせて考えると、グルコースを添加した混合酸基質では、菌体中での活性のあるメタン菌の占める割合が低いと思われる。 嫌気性微生物の担体への付着について、微生物の親水性および疎水性をn-hexadecaneを添加し、菌の分離の様子を観察することにより、酸生成相およびメタン生成相汚混を用いて検討した。
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