本研究では、生物膜法の1つである回転円板法をより効率化するために次の3点について検討した。(1)回転円板付着生物膜への溶解性基質の拡散速度を上げるために、円板表面に微細突起を取付けそこに発生する渦のはく離による攪拌作用を利用するための研究、(2)同一の円板回転速度における円板駆動動力を減少させるために、円板体に網状メディアを使用した場合の処理効率に関する研究、(3)回転円板槽下部にイムホフ型沈澱分離槽を付設し、同一槽内で生物処理とはく離生物膜の分離を同時に行い、最終沈澱池を省略するための研究。その結果、以下のような研究成果が得られ、固液分離機構を持つ表面突起付き回転円板装置は従来型に比べて著しく効率的である事を確認した。 (1)、(2)について:同一の回転円板速度においても、表面突起(高さ0.5cm)の枚数の増加に伴って硝化菌付着回転円板へのアンモニア性窒素Fluxは増加した。突起枚数が8枚の場合には無突起の場合に比べてアンモニア性窒素Fluxは約2倍となった。従来のプラスチックメディアの代わりに60メッシュのステンレス製金網に高さ0.5cmの突起を8枚取付けて円板回転速度を10rpmとした場合、生物膜近傍に存在する拡散層が消滅し生物膜への溶解性基質の拡散抵抗はゼロになった。 (3)について:4段直列型装置による都市下水を原水とする実験を行った結果次の点を確認した。水理学的滞留時間2時間の場合、処理水のSS濃度は10ppm以下、濁度は20度以下となった。この結果、最終沈澱池は不要となり、提案された方式は従来型に比べて構造が極めて簡素化された。また、はく離生物膜を速かに沈澱分離したために、それらの微細化による懸濁性TOC濃度の増加も生ぜず、処理水の全TOC濃度も常に10ppm以下(BODで5〜10ppm)と安定していた。
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