本研究で得られた研究成果は以下のように要約される。 (1)円板表面に高さ0.5cmの板(突起)を取付け、黒絵具により突起近傍の流れの可視化した。その結果、突起の先端部に渦が発生し、それらがはく離して円板表面を攪乱する様子が明らかとなった。 (2)硝化菌が付着した突起付回転円板法による回分実験を行い、突起枚数と円板回転速度が生物膜近傍の拡散層厚に及ぼす影響について検討した。拡散層厚は円板回転速度の1/2乗に反比例し、突起枚数が多い程同一の回転速度における拡散層厚は薄くなった。回転速度2rpmでは、突起なしでは拡散層厚は約200μmであったが、8枚突起の場合には100μm程度まで減少した。また、円板近傍の流れが層流領域では、拡散層厚は円板回転速度と無関係である。 (3)同一の回転円板速度においても、円板体を軽量化すれば円板駆動動力を減少できる。従来のプラスチックメディアの代わりに60メッシュのステンレス製金網に高さ0.5cmの突起を8枚取付けて円板回転速度を10rpmとした場合、生物膜近傍に存在する拡散層減し、生物膜への溶解性基質の拡散抵抗はゼロとなった。 (4)固液分離機構を持つ4段直列型回転円板装置による都市下水を原水とする実験を行った結果次の点を確認した。 水理学的滞留時間2時間の場合、処理水のSS濃度は10ppm以下、濁度は20度以下となった。この結果、最終沈澱池は不要となり、提案された方式は従来型に比べて構造が極めて簡素化された。また、はく離生物膜を速かに沈澱分離したために、それらが微細化されて生ずる懸濁性有機物が少ないために、処理水の全TOC濃度も常に10ppm以下(BODで5〜10ppm)と安定していた。
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