研究概要 |
昭和62年度の研究においては, 都市域の非特定汚染源負荷の基礎調査, 及び非特定汚染源負荷の堆積, 流出メカニズムの解析とそのシステム化を行う計画であった. したがって, 非特定汚染源負荷の推積, 流出状況の調査, 解析が主な研究内容である. 全国の主要都市, 及び本学周辺の都市域において, 非特定汚染源負荷として雨水桝堆積汚泥を取り上げ, その堆積特性, 堆積負荷含有量, 汚染状況等を調査, 解析した. 雨水桝堆積汚泥は都市の集水域の非特定汚染源負荷が晴天時等に集積したもので, この調査, 解析を通じて調査地域の地域特性と非特定汚染源負荷の関連を明らかにできた. 調査対象としたのは雨水桝堆積汚泥が中心であったため, わが国の各都市の調査地域の諸特性と雨水桝堆積汚泥の堆積状況の関連を解析するために, 全国の主要都市の雨水桝堆積汚泥を集め, 分析して比較検討を行った. これより, 雨水桝堆積汚泥の堆積量及び汚染状況は雨水桝の構造と集水域の非特定汚染源負荷の堆積状況が反映したものであることが明らかとなった. さらに, 雨水桝堆積汚泥の汚染状況は季節的に変動するが, これは降雨時の雨水桝への汚染物質の流入及び雨水桝からの流出が行われた結果であり, 降雨事象により, 汚染状況は変化している. また, 一定地域内の雨水桝堆積汚泥の汚染状況は, 堆積汚泥の粒度分布により推定でき, 粘土・シルト分の多い汚泥ほど汚染度が高く, 堆積負荷含有量が多いことなどが判明した. この結果を一般化するために, さらに調査を続ける計画である. 雨天時調査は十分とはいえないため, 非特定汚染源負荷の堆積量と降雨の掃流力, 流出量から非特定汚染源負荷の流出量を予測, 推定するには, 調査を続ける必要がある.
|