研究課題/領域番号 |
62550404
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研究機関 | 国立公害研究所 |
研究代表者 |
海老瀬 潜一 国立公害研究所, 水質土壌環境部, 室長 (80026260)
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研究分担者 |
井上 隆信 国立公害研究所, 水質土壌環境部, 研究員 (00184755)
福島 武彦 国立公害研究所, 水質土壌環境部, 主任研究員 (90124354)
大坪 國順 国立公害研究所, 水質土壌環境部, 主任研究員 (20093205)
相崎 守弘 国立公害研究所, 水質土壌環境部, 主任研究官 (20109911)
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キーワード | 微量汚染物質 / 農薬 / 合成洗剤 / 河川 / 湖沼 / 水質汚濁 / 水質汚染 / 流出特性 |
研究概要 |
流域から河川を通じて流出する微量汚染物質の調査を、毎週1回定時で1年間の調査に加えて、水稲移植期の4月下旬から5月上旬までの半月間と、農薬空中撒布後の7月下旬から8月上旬までの半月間の毎日調査を行った。調査対象の流域は、茨城県の涸沼に流入する農耕地河川の涸沼川である。水稲移植期には、基肥としての窒素・リン・カリウムのほか、農薬として除草剤が水田に多量に投入され、落水等により河川へ排出されて河川水質濃度や負荷量が増大する。水田移植期とその前後の濃度差と流量との積を水稲移植期の水田からの流出負荷量とすると、4月29日から5月7日まで9日間で水田面積1ha当り窒素で0.8kg、リンで0.08kg、除草剤のオキサジアジン16g、CNP1.8gとなった。そのほか、TーCODやBOD、SSやカリウム等も高濃度で高負荷量となった。窒素の大部分は硝酸態窒素、リンのほとんどは懸濁態リンの形態で流出していた。 手賀沼への流入河川の大堀川と大津川での洗剤由来のLAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩)の溶存態濃度と懸濁物吸着濃度との関係の調査結果より、フロインドリッヒ型等温吸式の適用した場合、係数kの値が外的要因により変動することが明らかとなった。河川で採取した懸濁物と底質に対するLASの吸着実験より、懸濁物の有機炭素含量、懸濁物濃度、対象LAS成分の成分比(フラクション)の変動がkの値を左右することが確認できた。さらに、吸着実験によるkの堆定式を河川でのデ-タを用いて検討した結果、河川水中のkの堆定値と実測値はよく一致した。したがって、微量汚染物質としてのLASの河川流下過程では、懸濁物が溶存態としての流出、あるいは、底質としての一時貯留は懸濁物の有機炭素含量、懸濁物濃度との関係から追跡する必要が明らかとなった。
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