コンクリートの耐凍害性試験において、実験室で得られた結果が、実際の環境条件のもとでの評価にどの程度対応するかという点については、現在までまったく知見が得られていない。本研究は、このような状況のもとに行ったもので、自然環境のもつ多様な条件、実験室において評価すること研究の目的としている。 実験室における要因効果の検討にあたり、凍結最低温度、温度勾配、最低温度の持続時間、養生の方法、凍結融解時の水分条件を変えた実験を実験計画法L16+8によって行い、これらの水準の影響程度を定量化した。この結果をもとに、基準とする水準を我が国で最も一般的な耐凍害性試験であるASTM C666 A法(水中凍結水中融解試験)の条件とすることにより、実験室実験の厳しさと自然環境条件の厳しさを対応させた。 札幌市では、通常、年間100回程度の凍結融解かが繰り返されるが、この値は、上述の結果のうち、温度条件のみを考慮して凍結融解試験の19回1年に相当し、乾燥条件をも考慮すると6回1年程度となる結果を得た。この値の妥当性について、これまで継続して測定を行ってきた暴露試験の結果で検討したが、これらの試験体の劣化が進んでいないこともあり、明確な答えを得るには至らなかった。今後の暴露試験の積みかさねによって検討を続けて行く必要がある。
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