研究概要 |
鉄筋コンクリート内部柱・はり接合部のせん断入力量と限界変形に着目した実験を行い, 既往の実験で報告されている接合部破壊型での高いせん断耐力と, はり曲げ降状型での比較的低いせん断耐力の関連について接合部の限界変形により考慮し, それに与えるはり主筋の付着性状の影響についても検討することに重点を置いた. 試験体のパラメータは, 接合部せん断入力レベルとはり通し筋の付着性状で, はり降状型5体, 接合部破壊型1体の系6体を作成した. はり降状型では, せん断入力量をτpu=0.3〜0.4Fcの間で変化させ, 接合部破壊型では, τpu=0.5Fcを目標とした. 付着の良し悪しは, 付着指標を参考に, 実験の配筋で可能な範囲で決定した. 実験では, 接合部の破壊時の変形レベルを把握するために, 接合部のせん断変形, 接合部コンクリートの圧縮ストラット方向の垂直ひずみ, 接合部コンクリートの圧壊ひびわれ及び接合部補強筋のひずみを詳細に観察した. 本実験結果から得られた知見は次の通りである. 1.接合部を含む骨組の最大耐力と部材角の関係は, せん断入力量が増大するに伴い変形は小さく, τpu=0.3Fcで層間部材角R=1/25rad, τpu=0.4FcでR=1/50rad程度である. 2.接合部の圧壊は最大耐力以前に現れ, 最大耐力時の変形量の差は, せん断入力量が増大するに伴い, 大きくなる. 3.コンクリートストラットが圧縮強度時のひずみに達する変形については, τpu=0.4Fc付近でははり主筋の付着性状による差はみられずR=1/50rad程度となるが, τpu=0.35Fc付近では付着の悪い試験体でR=1/45rad, 付着の良い試験体でR=1/36radであり, 比較的低入力の場合には, はり主筋の付着が良好な方がストラットへの応力集中を遅らせることができることが認められた.
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