I.1)汚染促進試験機の性能研究 試作した汚染促進試験機の性能と、これに用いる代替汚染物質の妥当性を検討するため、これによって得られる試験結果と対比するための戸外暴露試験を実施した。その結果、両者はよく対応することが確認され、当該促進試験およびこれによったコンクリート壁面の汚染程度の評価方法が有用なものであることが確認できた。 2)コンクリート材料特性と表面汚染 上記1)の汚染促進試験機によった長期材令の実験を行った。供試体は、水セメント比(3水準)、スランプ(5水準)、骨材粒径(2水準)および表面粗さ定数(3水準)を変えて作ったものを用いた。その結果、表面汚染に及ぼす影響は、表面粗さ定数が最も大きく、次いで水セメント比である。特に表面の劣化が進み、粗さが進んだものでは汚れが著しく目立つことが指摘された。これらに較べると、スランプ及び骨材粒径の代償の影響は相当に小さい。なお、乾湿が繰り返される場合には、コンクリート表面に生成するエフロレッセンスが、汚れの程度に大きく関与することなど、短期材令の実験で得られた結果とほぼ同様な傾向にあることが確認された。 3)各種材料面の汚染特性 コンクリート壁面に施す各種仕上げ材料を変えて作った供試体(表面条件は4水準)の汚染促進試験を実施した。その結果、各種仕上げ材料の汚染に対する特性を明らかにし、仕上げ材料によるコンクリート壁面の汚染防止対策の基礎的資料を得ることができた。 II.昭和62年度および63年度の実験研究で得られた実験データを総合的に整理・解析し、コンクリート壁面の汚染とそれに伴う材質劣化の防止についての知見をまとめ、研究成果報告書として集約した。
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