本年度は、鉄筋コンクリート造部材の曲げ靱性能を評価することを最終目的にして、角柱の中心軸方向圧縮実験(シリーズ1)と偏心軸方向加力実験と高軸力を受ける曲げ専断加力実験(シリーズ2)を行った。 シリーズ1では15cm×15cmの直方体試験体を16体製作し、拘束筋量とその配筋法を変えることにより、試験体の軸方向の応力度-歪関係がどのように変わるかを観察した。さらに、正方形の帯筋により横拘束を受けるコアコンクリートの破壊領域内の平均的な軸方向応力度一軸方向歪関係のモデルを提案し、実験よりその定数を推定した。 シリーズ2ではシリーズ1の試験体の内2体を選択し、この2体と同じコアの配筋詳細を持つ片持ち柱式試験体を4体ずつ計8体製作し、それぞれ3体について偏心軸方向加力実験を行い、1体について高軸力下で曲げ専断加力実験を行った。シリーズ2の実験方法により各変位段階でのM-N相互作用が連続的に求められる可能性のあることを示した。すなわち、必要水平変位(靱性率)が与えられれば本実験法により、試験体1体で、限界(例えば最大荷重の80%耐力時)における軸力が評価できることになる。 さらに、コアコンクリートの応力度-歪関係の提案モデルを用いて偏心軸方向圧縮実験と高軸力を受ける柱の曲げせん断加力実験の解析を行った。この結果、基礎部のカバーコンクリートへの拘束作用により、提案モデルでは実験の耐力を過小評価してしまい、また、カバーコンクリートのモデルを多少変えた程度では実験結果は模擬できず、カバーコンクリートにも拘束コンクリートのモデルを用いる必要があることを示した。しかしながら、カバーコンクリートにも拘束コンクリートのモデル
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