1.単純地形モデルによる解析 地表風におよぼす局所地形の影響を系統的に把握するために、二次元の三角形の地形モデルを用いて、風洞実験と有限要素法による数値シミュレーションを行った。その結果は次の通りである。 (1)山の傾斜角と流況の関係を明らかにした。 (2)英国BREDの耐風設計基準と対比させながら、山頂が角を持った三角形状の地形における風速の増速係数の分布を提示した。 (3)風速比におよぼす山頂からの距離の影響について解析し、両者の関係については、急傾斜の地表に近い風下部分をのぞいて放物曲線、または指数曲線により近似できると推定した。 (4)風速比におよぼす山の高さの影響について解析し、両者の関係については、放物曲線により近似できると推定した。 (5)有限要素法による解析では、山の風下側の剥離域の状況や、傾斜と渦の移動速さとの関係、層流状況から乱流状況へ移項する過程における渦の発達、移動の状況をとらえることができた。 2.実地形模型による実験と現地観測 千葉県富津市明鐘岬の実地形模型による実験と現地観測を行い、地形模型による実験方法の検討および風と局所地形の関係を解析した。結果は次の通りである。 (1)現地観測結果より、主に比風と南東風が吹いた場合について、局所地形との関連をもとに、風向、風速の分布状況を明らかにした。 (2)現地観測と風洞実験の比較より、地形模型実験方法についてのいくつかの提言を行った。
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