研究概要 |
大阪平野の山地と平野の境界領域における震動特性は、微動測定と地震観測によれば、次のように要約される。 (1)生駒山地から平野内に向けて、約0.5km間隔に微動測定を実施した結果によれば、次のことがいえる。 i)山地から平野に向けて変化する卓越周期は、約0.5秒以下の極く短い周期帯域にある。山地から2〜3km程度離れた地点では、沖積層厚が20m以下であるにもかかわらず、比較的長い1秒前後に優勢な卓越周期が認められ、この周期帯域の地震時の挙動に注目する必要がある。 ii)変位振幅の増幅は、山裾から2.0km程度離れた地点で顕著に表れ、特に周期1秒前後の波動の増幅度が極めて大きい。 (2)生駒山地の山裾から平野に向けて、水平距離1kmと3.2kmの位置にある2観測点K,Eにおいて地震観測を実施した結果、以下の現象があきらかになった。 i)山地と平野の境界領域は、平野内にあり堆積層が厚く堆積しているにもかかわらず、震動継続時間は平野中央部に較べて極めて短く、山地に似た震動性状を呈する。 ii)震動は衝撃的で、加速度振幅が山地な平野中央部に較べて大きい加速度の大きい原因し、下方からの実体波と周辺山地からの波動とが短時間に合成された結果であると考えられる。 iii)主要動の上下振幅は平野中央部に較べて大きい。 iv)山地の縁部から3.2km離れた沖積地盤上のE点におけるローカスによれば、主要動開始後7秒程度して、Love波的ローカスが認められるこれは堆積層を水平方向に伝播する表面波の存在を裏付けるものと考えられる。
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