研究概要 |
空調システム内の汚染実態を把握するために, 事務所建築と図書館建築を対象として, 本年度は, 付着堆積粉塵用測定装置の検証を含め, 粒径別浮遊粉塵を中心に測定調査を行った. それ等は以下のものである. (1)空調機内エアフィルター下流側と単一ダクト吹出口との濃度の関連. (2)空調機始動時と定常運転時の発塵特性. (3)点検口及び風量調節用ダンパー開閉操作による発塵特性. (4)押印式堆積粉塵測定装置の押印圧力変化に伴う各種特性の変化. (5)(4)による実態調査. 今回, 我々の試作した空調システム内の表面汚染(粉塵, 細菌, 真菌)測定装置は押印圧力により粉塵捕集特性に変化を生ずるものと思われ, 3種類の圧力を与えた時の重量濃度, 光学濃度, 粒子射影面積への影響を求めた. 結果として, 4kg/cm^2の押印圧力が妥当であることが判明した. 次に吹出口と下流側濃度の同時測定により, ダクト途上での発塵の存在が確認された. 特に空調機始動時での1μm, 2μm, 5μm程度以上の比較的大粒径粒子の発生が特徴的であった. 又, 空調機始動操作の繰り返しや点検口, ダンパー開閉操作によっても同様な傾向が伺われた. 従って室内への汚染負荷としては大粒子に着目する必要があろう. 今後は, 落下法を含む大粒子測定と模擬ダクトを作成し, 粉塵粒子の飛散付着性状につき, 理論, 実測両側面からの解明を試みると同時に, 空調方式, 建物種別による発塵特性の差異を実測により明らかにしてゆくつもりである.
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