事務所建築及び大学図書館の空気調和システム(特に空調機内部、吹出口等)で、浮遊粉塵、落下塵、駒遊真菌、落下真菌、付着堆積粉塵、付着真菌等の汚染質につき、空調機運転状態を変化させた時の測定を行った。また、試作した「押印式堆積粉塵測定装置」の性能試験も併せて実施した。 得られた知見は以下の通りである。空調機運転始動時では、特に2〜5μm粒子径以上の比較的大粒子に発塵特性が現れ、吹出口からは、浮遊及び落下塵として発生が認められた。これは送風機始動時の振動と立ち上がり気流の影響が主で、前日の空調機停止以降の落下塵と付着塵の再発塵である。また吹出口放出特性として、同一階で同一空調系統では濃度差は少なく、特に0.3〜2μm粒子で相関性が高い。定常運転時に比べ始動時の吹出口濃度は、粒子径が大きいほど高く、1回目の始動操作で50%以上が放出される。そして、空調機に対する“乱し行為"(点検口開閉、フィルタ-巻取り、風量ダンパ-開閉)では、フィルタ-下流側点検口開放ーダンパ開閉ーフィルタ-巻取りの順で大粒子発生率が高いことが判明し、粒度分布を求めた。 また、図書館内空調用ダクト表面、吹出口、空調機内部の真菌(カビ)測定では、夏期・冬期でその特徴に差が認められ、書物に対する“しみ"の発生原因である糸状菌の検出を試み、書架及び書物表面に対する空調設備の寄与を求めた。 「押印式堆積粉塵測定装置」は、加圧力4kg/cm^2が他の圧力に比べ、粉塵重量濃度、O.D値、個数濃度に対して有効であることが判明し、今後の測定評価を行ううえで貴重な成果となった。
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