研究概要 |
層流型実大模擬クリーンルームを用いて実験を行った. この結果次のような知見が得られた. (1)実験結果:(温度)火源から上昇した熱気流は天井からの空調流に対向しつつ上昇するが, 自由空間での火災に見られるようなプルームの流動特性は得られず, また顕著な水平方向への広がりが確認された. 天井に設置されたHEPAフィルターへの熱気流の侵入は確認されなかった. (流速)線熱源を用いた場合, 鉛直上方向の速度成分は下降流の速度成分(鉛直下方向)だけ差し引いた速度成分を保持したまま上昇することが確認された. 自由空間での線熱源からの上昇気流の流動特性は保有されていた. (煙の流動)火源から発生した煙は, 上昇する熱気流と共に移流するが, 上昇途中で水平方向への広がりがより顕著となり, 全体としてマッシュルーム状を呈した. (II)コンピューターシュミレーション:熱気流と下降流からなる流体を2次元非圧縮流体としたモデルでシミュレーションを行った. その結果, 下降するクリーンエアーと火源からの上昇熱気流が作り出す対向流の流動パターンをほぼ再現する事はできた. 流体の持つ個々の物理量を計算によって正確に予測することはできなかった. (III)今後の研究計画:ブルーム内の運動量・エネルギー保存, さらに周囲の空気の巻き込み係数等の流れの性質の基礎的データと共に, 初期火災での感知に重要な指標となる煙濃度測定を行いブルーム内の性状を把握する. 区画内の流れを示す流体を圧縮性粘性流体として乱流エネルギー(k), 粘性散逸率(ε)の輸送方程式による乱流モデル(k・εモデル)を導入して熱気流をシミュレートすると同時に煙の拡散・凝集を考慮した2次元シミュレーションを行う. 実験結果との比較からシミュレーションモデルの妥当性を検討する.
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