研究概要 |
本研究は次の3つの部分より成っている. 1.「歴史的街区の類型化と典型的街区の事例に関する調査分析」の項目では, 本年度は, 城下町の松江の足軽町としての特徴を今日に伝えている雑賀町をとり上げ, 街区の基本構成及びその変遷を絵図や土地資料を分析することにより明らかにした. また街区を構成する個々の宅地及び住宅についても残存遺講を実地調査し, 下級藩士の足軽屋敷の基本形態について明らかにした. 2.「歴史的街区における住宅の利用及び更新活動を寄生している模範に関する分析」の項については, 本年度はまず個々の宅地の利用と密接な関係にある街区単位の土地利用変化の動向を把握するため, 旧城下町米子の町人地であった数街区を対象に, 街区の空間構成の基本を成していると考えられる宅地割について, その変遷の特徴を明治期以降について明らかにした. 即ち, 全体として筆の細分化傾向と, 隣接筆へ所有界を拡大するという土地利用をめぐる, 土地所有単位の2極分解化の傾向がみられると供に, 筆の分割形態の特徴が明らかになり, また各街区別動向も把握した. 3.「地区における共用空間の物的形態, 利用形態, 管理運営形態の分析」の項では, 本年は旧城下町米子の歴史的街区における, 共用空間として, 旧来商業地区として繁栄していた町家地区を貫きひとつのコミュニティの場として成立していた道路をとり上げ, その物的形態, 利用形態を実測ならびに利用者行動を調査することにより次の点が把握出来た. 即ち一つは, 住宅前道路のアスファルト化による町家の空間構成が, 車の影響で表裏どうりの両側からプライベートな部分が圧迫されている点であり, もう一つは, 町家の住民の道路への関わり方は, 清掃, 水まき, あふれ出しの領域からみて, 領域の狭小化, 個別化傾向を示している点である.
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