研究概要 |
昭和62粘土には, 資料が保管されている東京都立中央図書館や藤岡の研究室でa)資料カード作成, b)コンピュータへのデータ入力, c)資料の整理, d)木子清忠氏への聞き取り調査, の4つの作業を行なった. 以下にその概要を述べる. まず, a)「資料カード作成」であるが, 資料をチェックして必要事項をカードに書き取る作業は完了した. その結果, 資料総数は約1万1千点であることが判明した. その中の1, 102点は写真資料であり, 残りのほとんどは図面である(その他には手紙やメモ・構造計算書などがある). このカードをもとに, b)「コンピュータへのデータ入力」を開始した. データベースにはμCOMOSを用い, データ量が多いのでハードディスクに記憶させることとした. ハードディスクはランドコンピュータ社製のものを購入し, アルバイトを使って入力作業を行なった. その結果約8千点のカードのデータの入力を済ませることができた. この入力作業と平行して, c)「資料の整理」を行なった. 先述のように, 当該資料の多くは図面であるが, その中にはどの建物のものか, あるいはある建物のどの部分を示すのか, 計画案なのか最終案なのか, わからないものが多い. しかもその多くは作成年代の記入がない. したがって, 資料のひとつひとつを慎重に検討し, 建物名や作成年代を推定するとともに, 資料のならべかえを行なう必要がある. 今年度はこの作業を約2千点の資料について完了し, あわせてコンピュータに入力されたデータの修正を行なった. これらの作業のほかにd)「木子清忠氏への聞き取り調査」として, 木子清忠氏(木子幸三郎の子息)から幸三郎が設計した建物のこと, 施主のこと, などについて伺い, 研究を進める上で有益な知見を得ることができた. c)の作業が困難で, 予想以上の時間と手間がかかっている他は, ほぼ予定通りに進行していると考えられる.
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