研究課題/領域番号 |
62550454
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
櫻井 敏雄 近畿大学, 理工学部建築学科, 助教授 (60088424)
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研究分担者 |
大草 一憲 近畿大学, 理工学部建築学科, 助授 (00088486)
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キーワード | 寺院の基本設計 / 神社本殿の基本設計 / 古建築の設計方式 / 禅宗様仏殿の設計方法 / 春日造の設計 / 流造の設計 / 楼門の基本計画 / 伽藍配置計画 / かまえ |
研究概要 |
本研究の目的は古建築の設計基礎概念としての「かまえ」を明らかにしようとするもので、外部空間(配置計画)や内部空間(断面計画)の基本計画の手法を明らかにしようとするものである。 本年度は62年度の研究成果や検討を承けて、主として伽藍配置計画と主要堂宇との計画の関連性について総合的に考察し、できうればそれらの大系化の道を模索し、それと同時に前年度の分析・検討の結果、再調査を必要とする事例について補足調査を行うことであった。 伽藍配置計画では大宮大寺・平城京薬師寺・百済寺・比蘇寺・宇佐弥勒寺をとりあげ、双塔形式の伽藍では両塔間の距離に単位基準寸法のあることを明らかにし、金堂の関係にも言及した。また東塔を残す平城薬師寺では塔高の2倍が両塔間距離となり、露盤迄の高さが金堂の位置を制している。また大宮大寺や薬師寺では塔を中心とする方150尺・方120尺の塔院空間を想定することができ、その間がおよそ金堂の桁行規模となる。加えて、回廊の規模は金堂や講堂の桁行寸法と密接に関連していることが知られた。 双塔式伽藍配置は朝鮮半島にみられ、千軍里廃寺や仏国寺での実測結果では両塔間の距離の2倍が回廊幅と関係するが、宇佐弥勒が同じ性格を示す。こうした傾向を左右非相称の伽藍の中で検索すると、川原寺が西金堂と塔の真々距離の2倍が回廊東西幅(外々)に合致している。また基壇間内法寸法大尺75尺は、中軸線より金堂真迄の距離に等しい。 回廊内に建物のたたない例としては、唐招提寺伽藍を扱ったが、そこでは回廊東西幅は中門桁行全長と南北奥行は講堂桁行全長とそれぞれ5倍と2倍で、かつ金堂の建築計画は天平尺の25尺が基本となり、そこに柱径2尺が関与して、平面と断面計画が有機的に関連していることが知られた。今後、建築遺構についても同様の検討を行う必要がある。
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