研究概要 |
物体の表面にテープ状のひずみゲージを接着し, その表面を擦過したときに得られる信号によってその物体のひずみの線上分布を測定する研究については, まえに磁気格子を着磁した磁気テープを用いる方法についてそれを実施したことがある. その際テープを表面と読取用磁気ヘッドとの密着不安定性が測定値に影響を及ぼすことがこの方法の問題点の一つとして挙げられた. 本研究はそれを改善してこのひずみ測定法の特長を活かすための方法の一つとして, 磁気テープに代えてバーコードのように縞模様を印刷したテープとバーコード読取りセンサを用いて, これを行うことについて実施しているものである. 本年度は種々のひずみ状態にあるテープを模擬的にあらかじめ作成して実験を行うために可変倍率式の乾式複写機を用いてわずかずつ縞間隔が異なる試料を作り, それらにおけるひずみ測定値の正しさとを検討する研究を行っている. 現在得られている知見としては, 乾式複写機のトナーの盛上がりによって読取り中のバーコード・リーダーが多少のはね上がりを示すので安定性が十分でないが縞テープの上に高分子材料でできた透明シートを置いて擦過すると表面の平滑度がよくなるので読取り安定性が向上することが認められた. よって今後は必要に応じて写真焼付け式の滑面試料を検討することを考えている. 本研究の主体である縞模様の光電式読取りの信号を用いるひずみの算出については, 基本的な考えが磁気テープゲージに準ずるため, 主として磁気テープを用いたときの性能との比較について研究を行った. 概していえば磁気テープとほぼ同等の結果が得られているが, 本研究ではじめて考慮の対象とした黒白の幅比率を変えた場合についても検討をはじめているところである.
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