本年度は、前年度に引き続き希金属資源に関する資料を収集するとともに3年間の研究成果のまとめを行った。資料の収集では昭和62年度は主に硫化物として産出する希金属について、昭和63年度は主に酸加物として産出する希金属について調査したので、本年度は、硫化物、酸加物以外の鉱物種、たとえば金、白金など金属状態で産出する希金属に重点をおいた。次にこの3年間の成果をまとめるにあたって、これまでの資料を整理すると、希金属資源は供給面から基本的に2つのグル-プ、独自の探鉱開発、精錬の行われている希金属とベ-スメタルの製錬の中間精製物を出発物質としてバイプロダクトされているものに分かれた。希金属の資源量の把握、安定供給を論ずるときにはこの違いはもっとも基本的になっており、後者に属する希金属の問題は各々のベ-スメタルの問題に置き換えられる部分が多い。そこで、まず独自探鉱開発、製錬の行われている希金属、バイプロダクトとして生産されている希金属あわせて35種について資源量の評価を試み、つぎに参考資料としてベ-スメタルの現状もあわせて記載した。なお、ベ-スメタルと希金属の厳密な区分はないようであるが、本研究ではアルミニウム、鉄、銅、鉛、亜鉛、錫をベ-スメタルとした。資源の評価の基礎的事項としては、生産量・需要・用途・価格・代替品・備蓄・埋蔵量・地質などをとりあげ、各メタルごとに事項別にまとめ、論じた。統計資料では1987年までの最新統計とわが国の輸入消費などを掲載した。
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