研究概要 |
高温, 強酸等の劣悪環境下でもクラックの伸長現象の評価試験が可能なダブルトーション試験装置を設計し, 製作した. また従来より用いていたダブルトーション試験装置により, 基礎的な試験を実施し, 以下に示す知見が得られている. 1.ダブルトーション試験には定荷重法, 定変位速度法および定変位法があるが, 定変位速度試験により得られる結果がもっとも信頼性が高い. 2.定変位法は極めて広い領域のK-V関係を1度のrunで得ることができるという利点があるが, 結果に大きな誤差をもたらす場合がある. 3.定変位法において, 初期荷重を十分高くし, 供試体の不均質性のサイズにより定まる適性な寸法の供試体を採用すれば, 上記の誤差を小さくすることができる. 4.珪酸塩質材料内を進展するクラックの伸長速度は水中では100〜1000倍速い. 5.見かけ上では異方性が顕著ではない岩石でも, クラックの伸長速度に大きな異方性が存在する場合があり, 例えば大島花崗岩や稲田花崗岩で見い出されたクラックの伸長速度の異方性は10^5〜10^7倍程度である. これらの実験研究と同時に浸透流解析を行った. 解析は三次元軸対称FEMで行った. 地下空洞上部に応力集中によるジョイントの拡大に伴う浸透率の大きな領域が存在する場合には, 空洞から流出する水量が減少するという奇妙な挙動が明らかとなった.
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