研究概要 |
丸棒貫入試験法のメカニズムの理論的解明・確認については現有のパーソナルコンピュータにより行ない, 実験に及ぼす供試体の寸法や拘束条件の影響について明らかにした. しかし, 破壊までをも含めた丸棒の貫入挙動の完全な解明には破壊条件式や破壊後の挙動を考慮して行う必要がある. 実験には九州地区の2つの炭鉱における全稼行炭層中の石炭と2種の夾炭層岩石である頁岩を用い, 整形供試体による通常の強度試験(一軸圧縮および圧裂引張試験)と非整形供試体による丸棒貫入試験を行った. なお, これらの試験は種々の条件下で養生した供試体を用いた. 丸棒貫入試験で得られた強度特性は整形供試体を用いた通常の試験結果と良い相関性が得られた. しかし, 供試体自体に起因するバラツキ, 丸棒の大きさの違いによるバラツキが比較的大きく, 今後さらなる実験を重ねる必要がある. なお, 購入したロードセルにより, 丸棒貫入特性曲線がX-Yレコーダで容易に求められ, 実験が精度良く行えるようになった. また, 購入したフラットジャキにより, 拘束圧を与えた条件下で丸棒貫入試験を一部実施した. しかし, 拘束圧の影響は明確なものではなく, さらなる実験が必要である. 次年度(昭和63年度)においては, 実験回数を増やし, 丸棒の寸法効果や拘束圧の影響を明らかにし, 整形供試体が作成できないような軟岩類にも適用できる丸棒貫入試験法を確立し, さらに吸水に伴う強度劣化の評価法へのこの試験法の適用を図る.
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