研究概要 |
1.AL-9.5および11.4at%Li合金を整合な中間相(δ´-相)が生成する典型的な時効温度である423Kで時効した場合の相分解の極初期段階, 中期段階および後期段階を中性子小角散乱法によって詳しく研究し, 多くの知見を得た. この方法は, この合金の相分解の研究にとって極めて有効であることを世界で始めて示した. 2.423Kでの時効の場合, 極初期段階ではδ´-相はスピノーダル分解機構で生成することを示す実験結果を得た. しかし, いわゆるCahn-Hilliard線型理論では実験結果を十分に説明できないことが分かった. 3.散乱関数の波数(q)に相対する依存性を示すPower law ,I(q,t)αq^<-a(t)>を詳しく研究した. 初期段階ではa(t)が極く短時間で, 1.5から6まで連続的に増加する異常な現象がみられた. その場合, a(t)は, 従来報告されている2,4および6以外に非整数の値をとるという新しい現象を見い出した. 後期段階では, I(q,t)はq^<-4>およびq^<-6>依存性の重さなったものとして表わされる. その場合, Furwkawaによるスケーリング則がよく成立する. 4.電気抵抗測定によって, 従来不正確な値しか報告されていなかったδ´-相および安定相(δ-相)の溶解度線を決定した. 5.電気抵抗測定および中性子小角散乱法を併用して, δ´-相のオストワルド成長を速度論的に研究し, 各種の速度定数, 有効拡散係数およびδ´-相と母相間の界面エネルギーを決定した.
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