傾角粒界をもつアルミニウム双結晶の引張変形において、両成分結晶の主すべり系の刃状転位が粒界に激しく集積し、粒界近傍に変形帯が形成した場合は、旧粒界は、その変形帯に沿ってひずみ誘起粒界移動を生じた。また、対称傾角粒界をもつ場合は粒界の両側に対称にひずみ誘起粒界移動が生じた。このことは、先のねじり粒界をもつアルミニウム双結晶においてらせん転位が粒界に集積した場合、〈111〉軸まわりに変形マトリックスを回転した再結晶粒が粒界に沿って主に形成した結果と好対照であった。 このことは、銅双結晶においても、粒界に刃状転位が集積し、変形帯が形成すれば、ひずみ誘起粒界移動により再結晶領域が生じやすく、一方、粒界にらせん転位が集積する場合は、〈111〉軸回転の再結晶粒が形成した。 上記のことは、主すべり系または2次すべり系に関係なく、粒界近傍で活動したすべり系についていえることである。 また、誘過電子顕微鏡用高温ステージを用いて、種々な変形を加えた薄膜試料を昇温しながら再結晶の様子を調べた結果、〈111〉軸まわりの回転や粒界移動が観察された。銅双結晶の場合は、セル壁を構成する転位のからみが昇温によってもなかなか解きほぐれず、それにかわって、粒界から双晶の発生があり、セル壁の転位密度を減らし、再結晶を進めることがわかった。
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