99.98mass%の銅双結晶を、30%および50%の引張ひずみを与え、透過電子顕微鏡内で高温ステ-ジ(本科学研究費補助金で購入)を用いて昇温することによって再結晶に及ぼす結晶粒界の影響を調べた結果、次の知見を得た。 1.刃状転位が集積した粒界で、変形帯が形成すると、変形帯を形成した結晶側にひずみ誘起粒界移動(SIBM)が生じる。 2.一方、らせん転位が優先的に集積する粒界近傍では、<III>軸のまわりに変形マトリックスを回転した方位をもつ再結晶粒が島状に形成される。 3.上記2つの結果は、先のアルミニウム双結晶を用いた場合の結果とよい一致を示し、その結果を再確認した。 4.しかしながら、銅の場合は、再結晶の核生成および成長段階で双晶の発生が顕著に観察された。ただし、多段階の双晶化はほとんど見られなかった。 5.銅の場合は、積層欠陥エネルギ-も比較的小さく、転位が部分転位に別れやすく、からみ合った転位は、再結晶段階の温度においてもアルミニウムの場合のように、ほぐれなくて、ポリゴニゼ-ション化しにくい。 6.銅双結晶の粒界は、透過電子顕微鏡内で約0.5T_M(T_M:バルク材の融点)の考えられないような低い温度で融解・蒸発した。しばしば、再結晶が生じないうちに融解・蒸発が生じた。 7.6は、1〜5の再結晶の結果に優るとも劣らない成果であり、今後、重点的に発展させたい。
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