市販純チタンと0.01%Cの低炭素鋼(ULC)、0.19%Cの軟鋼(S20C)、3.75%C球状黒鉛鋳鉄(FCD)とを拡散接合した。継子の引張強さにおよぼす炭素含有量の影響について、特に接合界面に形成される金属間化合物に着目して調べた。接合は真空中で750℃から1000℃の範囲で行なった。接合圧力は0.15kgf/mm^2、接合時間は30minとした。得られた結果は次のとおりである。 (1)FCDとTiの拡散接合では、継手の引張強さは接合温度の上昇とともに増大したが、すべて接合部近傍で破断した。FCDとTiの接合界面で観察された化合物層はTiCのみであった。 (2)ULCとTiの拡散接合では、継手の引張強さは接合温度の上昇にともなって増大したが、FCDとTiの継手強さよりも低く、900℃以上の接合温度で、ほぼ一定の値を示した。 (3)S20CとTiの拡散接合では、900℃以下の温度で接合した継手の引張強さは、FCDとTiの接合例と同程度の値を示したが、900℃以上では接合温度の上昇にともなって低下した。900℃以下の接合温度では、化合物層はTiCのみで構成されていたが、900℃以上ではTiFe、TiFe_2およびTiCから成っていた。 以上の結果より、TiC化合物層は接合界面を横切ってTiやFeが拡散するのを妨げ、Fe-Ti系金属間化合物の形成を抑制することが判った。またTiCとFe-Ti系金属間化合物の混在は、それらが個々に形成される場合よりも、継手強さが著しく低下することが明らかとなった。
|